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水と緑のぷりこま

目次

第十九話 たま江の青いダイアリーの巻

「秋の空はどこまでも青く」

一人ランチを過ごす。この時ばかりは職場での鎧を脱ぐのだ。

おもむろにポケットから,高校から何度も読み返したM.Hの短編集を取り出す。私は長編より,短編の方が好きだな。運んできてくれた店員さんに軽く会釈をして,一瞬目を閉じる。そして心の中で「いただきます」とつぶやく。この店のジャンバラヤは,スパイシーで大好きなんだ。

もちろん携帯は机の上に置いてきた。この貴重でささやかな時間を誰かに奪われたくないもの。
何も考えずに箸を進める。単純に食べることに集中したい。不器用なんだろうな。

最後に「ご馳走様」とひとりごちた。

食後のコーヒーを飲みながら,また短編をとりだす。このゆったりした時間は何にもかえられない。
もうすぐ始業の鐘が鳴る。私はガラスに映る姿をみながら,いつも通り笑顔を作ってみる。

 

第十九話 完